百物語の会01

……それは、江戸時代に流行した怪談会である。
百本の蝋燭をともし、怪談を一つ語る毎に一本ずつ消していく。
そして、最後の一本、つまり百話を語り、
百本目の蝋燭を消した時、怪異現象が起こると伝えられている……。

制作集団 真美漢 : 代表 真美漢


僕の名前は、呪田凶介(のろいだ きょうすけ)。
華のセブンティーン!
怪談大好きの男の子だ。
さて凶、いや今日は、とある寺を借りて開催された
「百物語の会」に参加することになった。

もともと、こういった会に参加するのは大好きだが、
今回に限り抵抗があった。
なぜなら、僕は今まさに女の悪霊に憑依されているからだ。
しかし、友人に誘われて仕方なく参加している。

黄昏時から始まった会。
もう丑三つ時。
しかし、正直言ってこの会で語られる話はどれも退屈だった。
何処かで聞いたことのあるような……そんな話ばかりだからだ。
三度の飯より怪談が好きな僕の方にも、問題があるのかも知れないが…。
こんな生ぬるい会で、震えている女性参加者がうらやましい。
しかし、ハッキリ言って僕の語る怪談は、
震えるだけではすまないかもしれない。

なぜって?
僕の語る怪談は、今僕が体験していることだからさ。
そしてそれは恐ろしいのだ。
現在進行形なのだ。
そんな僕が百話目を語り、最後の蝋燭を消す役目とは……。

こりゃ、何も起こらない方が奇跡だ。
何が起こっても……僕は責任をとれない。
しかし、時は待ってくれない。
今、九十八話目が終わった。
また、くだらない話だった。
もう、いい加減に止めてくれないかな。

ドイツもコイツも、“稲○淳○”氏の受け売りなのだ。
僕は“○川○二”氏の大ファンで、ライブにも足を運んで、
CDもVTRも本も全部持っているが、そのモノマネはノーサンキューだ。

おっと、グチっている内に九十九話目が始まった。
もうすぐだ。
もうすぐ、ここにいるみんなが震え上がる時が来るぞ!
しつこいようだが、それだけ僕の話は、お、恐ろしいのだ!
か、語るのも、お、恐ろしい……。

ひょっとしたら、みんなにも悪夢の毎日が訪れるかもしれない。
それぐらい恐ろしいのだ。
ホラッ、見ろ!
アソコにいる。
女の悪霊だ!!
毎晩僕の眠りを邪魔するんだ。
お陰で、何時も寝不足。
ここ数ヶ月、まともに眠ったことなんかない。
眠りにつくと、アイツが起こすんだ。
しかしそんなのは序の口だ。
恐ろしいことをする!
…………。
……。

そしてついに、その恐ろしいことを話す時がやってきた!
僕の番がやって来たのだ。
みんなの視線が僕にそそがれる。
ついでに女の浮遊霊の視線も……。

「そ、それじゃ、僕の話を聞いて下さい……」

気を取り直し、僕は語ろうとした。
しかし、ホントに恐怖の話というモノは語れないモノである。
口が重い。
ついでに肩も重い。
嗚呼、ついに語るのか!?
ホントの恐怖を!!
もう、どうなっても知らないぞ!
……しかし!

「あ、あのぉ、みんな、やめにしないか?
やっぱり僕の話は、まっこと怖いから、
き、聞かない方がいいと思うんだ……。」


……僕はこうしか言えなかった。
しかし、みんなは……、

「そんな前口上はいいから、早くしろよ!」


「早く、恐がらしてくれよ!」

と、これだけ僕が、みんなのことを思って
話すのをためらっているのに、
みんなは急かす一方だ。
うっ、カンのいい奴が、何かを感じているようだ。
僕の周囲を嫌な顔で見ている。

(やはり話さない方が良い!)

僕はそう思った。
しかし、鈍感な奴はそれを許さない。
みんなのためなのに!
本当に怖いのに!
もう、悪霊が目前にいるのに!

百物語の会02
「いい加減にしてくれ!
俺の語る怪談は君たちのくだらない、
しょうもないインチキ怪談と違って、
本当の恐怖の怪談なんだぞっ!」


一瞬、みんなの目が変わった……。
僕の今の言葉が、みんなの怒りを買ったらしい。
ホントのことを言っただけなのに……。
僕、一体……どうなる……?

ボカッ!ドスッ!ボカボカッ!

こうなるわなぁ……。


漢的恐怖劇場 第百話より



yahoo!ブログ2014/10/12更新分より